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高齢化率が下がる町で、増えているもの

どうもこんにちは!
阿見町議会議員の 筧田かけひだ 聡さとし です。

今月はじめの全員協議会。町長の挨拶に、こんな一節がありました。

「県全体では高齢化率が上がっているが、阿見町は下がり続けている」

敬老の日を前にした挨拶です。町内には100歳の方が16名、うち14名が女性。町内最高齢は106歳の女性。そう続きました。106年。大正の生まれです。この町で、その年月を重ねてこられた方がいる。まずそのことに、敬意を申し上げます。

そのうえで、聞きながら一つ引っかかりました。高齢化率が下がるというのは、この町に何が起きているということなのか。 帰ってから数字を追いかけました。

先に結論を書きます。阿見町の高齢者は減っていません。増えています。 下がっているのは率だけです。そして率が下がっている裏側で、備えるべき数字はむしろ急に増えていました。

確かに、下がっている

まず町長の話は事実です。県が毎年、敬老の日に合わせて公表している統計で確かめられます。今年の分は9月18日に出たばかりです。

令和7年(2025年)10月1日現在、茨城県の高齢化率は31.2%。前年より0.18ポイント上がりました。県内44市町村のうち、前年より下がったのはわずか5市町。取手市、つくばみらい市、境町、利根町、そして阿見町です。

阿見町は27.7%で、前年比マイナス0.08ポイント。この統計での高齢者は13,771人、前の年より91人増えています。増えているのに、率は下がった。 ここが今日の話の入口です。

なお、この「下がった側」に阿見町が入るのは今回だけではありません。県の公表は基準日が少しずつ動くのですが、私の手元で確かめられた3回は、令和5年7月1日現在がマイナス0.14ポイント、令和7年7月1日現在がマイナス0.07ポイント、そして今回の令和7年10月1日現在がマイナス0.08ポイント。いずれも前年の同じ時期を下回っています。

県内で見れば、高齢化率が低いほうから7番目。つくば市(20.0%)、守谷市(24.6%)といった顔ぶれに並んでいます。人口5万人規模の町としては、かなり若い部類です。

中身を開けると、逆のことが起きている

ここからが本題です。ここから先は、町が公表している年齢別人口(住民基本台帳)を使います。さきほどの県の統計とは基準日も調べ方も違うので、高齢者の数は少しずれます。5年前と今を、どちらも8月1日現在で並べました。

2021年8月2026年8月増減
総人口48,182人50,392人+2,210人
0〜14歳6,072人6,202人+130人
15〜64歳28,513人30,244人+1,731人
65歳以上13,597人13,946人+349人
高齢化率28.2%27.7%-0.5ポイント

高齢者は349人増えています。子どもも130人増えています。にもかかわらず率が下がったのは、分母である町の人口が、それを上回る2,210人増えたからです。

高齢化率は、高齢者の数を町の人口で割った割合です。高齢者が増えても、町の人口がそれ以上に増えれば、割合は小さくなります。阿見町で起きているのは、高齢者が減ったことではなく、現役世代が5年で1,731人増えたことでした。

平均年齢を見ると、この構図がはっきりします。2021年8月が46.55歳、2026年8月が46.80歳。高齢化率は下がったのに、平均年齢は上がっている。 高齢化率は65歳以上かどうかだけを見ますが、平均年齢は全員の年齢を足して割ります。現役世代が増えれば率は下がり、その人たちも年を重ねるので平均年齢は上がる。同じ人口でも、物差しを変えると逆の答えが出ます。

増えているのは、75歳以上

もう一段、分けてみます。65歳以上を、65〜74歳と75歳以上に分けます。

2021年8月2026年8月増減
65〜74歳7,130人5,861人-1,269人
75歳以上6,467人8,085人+1,618人

65歳から74歳が1,269人減り、75歳以上が1,618人増えました。5年で25%増です。町の人口に占める割合も13.4%から16.0%へ上がっています。

背景にあるのは、世代ごとの人数の波だとみられます。1947年から49年に生まれた人数の多い世代——団塊の世代がそろって75歳を超え、その下の人数の少ない世代が65歳の入口に立ちました。「65歳になる人」が、いま一時的に細くなっているのです。ただし2つの時点を比べただけでは、どの要因がどれだけ効いたかまでは分かりません。

つまり、こういうことです。

  • 高齢化率(率)は下がっている
  • 高齢者の数は増えている
  • そのうち、介護や医療の利用が統計上増えやすい75歳以上は、5年で25%増えた

率が下がったことと、介護や医療への備えが要らなくなることは、まったく別の話です。

町の中では、増える場所と減る場所に分かれている

もう一つ、触れておきたいことがあります。町の人口は増えていますが、その増え方は町内で一様ではありません。

住民基本台帳から、地区別の総人口を見ます。住宅地の変化は5年では見えにくいので、ここだけ2013年から2025年までの12年で並べました。荒川本郷は7割、本郷一丁目は7割近く増えました。阿見東インターに近いよしわら一帯も、大字吉原と合わせて7割近く増えています。一方で、古くからの集落は減っています。曙は2割あまり、島津は2割近く、大字阿見も5%あまり。新しい住宅地に若い世帯が入り、昔からの集落から人が抜けていく。同じ町の中で、増える場所と減る場所が分かれています。

町全体の数字は、増えている地区と減っている地区が混ざった結果です。全体が良くなったからといって、自分の地区が同じ方向へ動いたとは限らない。 高齢化率という一つの数字を町全体の物語として語ってしまうと、この差が見えなくなります。

人が減っている地区にも、この町を長く支えてきた方たちが暮らしています。年齢構成までは、ここに並べた数字からは言えません。けれど町全体の率だけを見ていると、その暮らしは視界から外れます。

それで、何を見るか

高齢化率27.7%という数字は、町の広報としては明るく見える材料です。ですが予算と人員の設計に使うなら、見るべきは「75歳以上が5年で1,618人増えた」のほうだと考えています。

率は広報の言葉、実数は設計の言葉。行政にはどちらも要ります。 要介護認定の件数、地域包括支援センターの相談件数、通いの場の数と参加人数。率の裏側で動いているこちらの数字を、私は議会の場で追いかけます。

町長の挨拶は「高齢者が健やかに過ごせる町にしていく」と結ばれました。同感です。そのうえで、健やかさは願いでは動かず、数と場所の設計で動く と思っています。

106歳の方が、この町で106年を過ごされた。そうして長い時間をこの町で重ねてこられた方が、ほかにも大勢いらっしゃいます。10年後、その方たちが「歩いて行ける場所がある」「困ったときに相談できる顔がある」と言える町であってほしい。そのための数字を、私は率ではなく実数で見ていきます。

まずは今日、この町で長い年月を重ねてこられた皆さまに。おめでとうございます。

ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!

ご覧いただきありがとうございました。
阿見町の筧田がお送りしました。

参考資料

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