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フレイルとは|戻れる衰え。戻り道は一人より誰かと

阿見町のフレイル予防 フレイルとは 戻れる衰え。 戻り道は一人より誰かと(公民館で高齢の方たちが椅子に座って一緒に体操をするイラスト)

 

どうもこんにちは! 阿見町議会議員の 筧田かけひだ 聡さとし です。

最近、町の資料や会議で「フレイル」という言葉をよく聞くようになったので、言葉の意味から阿見町の取り組みまでを、一度通して調べました。

フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態のあいだにある、心と体の活力が落ちてきた状態のことです。2014年に日本老年医学会が、英語のFrailty(虚弱)の日本語訳として提唱しました。全国の65歳以上を対象にした調査データ(2012年実施)を解析した研究では、フレイルに当てはまる人が8.7%、その手前の「プレフレイル」が40.8%と推計されています(2020年公表)。

10人に1人がフレイルで、4割がその手前。けれど、この言葉でいちばん大事なのは数の多さではありません。フレイルは、早く気づいて手を打てば、まだ戻れる段階だということです。

 

「虚弱」と呼ばなかったのは、戻れるから

Frailtyには、もともと「虚弱」「衰弱」という訳がありました。ただ、どちらも後ろ向きな印象の強い言葉です。学会はなじみやすい訳を検討して「フレイル」を選び、あわせて、適切に手を打てば元に戻れることを強調しています。

フレイルには、3つの特徴があるとされています。

  1. 健康と要介護のあいだにある「中間の時期」であること
  2. 運動・食事・人との関わりで、機能を取り戻せること
  3. 体だけの話ではないこと。筋力の衰え(体)のほかに、気力の低下や物忘れ(心)、閉じこもりや孤食(社会とのつながり)の衰えも含みます

フレイルは老いの終着点ではなく、引き返せる分かれ道です。そして3つ目の特徴が、あとで数字になって返ってきます。

 

行政でよく聞くのは、75歳からの健診が変わったから

この言葉が役場の資料に並ぶようになったのには、はっきりした理由があります。

2020年4月、国は「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」という仕組みを始めました。75歳になると、医療保険は市町村の国民健康保険から、県単位の後期高齢者医療広域連合へ切り替わります。健康づくりの事業はここで途切れやすく、一方で介護予防は市町村が担っています。その継ぎ目を市町村が一つにつないで、高齢の方を支えようという仕組みで、いまではほぼすべての市町村が実施しています(2024年7月時点・厚生労働省調べ)。

あわせて、75歳以上の健診の問診票も変わりました。それまでは生活習慣病(メタボ)を見つけるための問診でしたが、2020年度からは「後期高齢者の質問票」という15項目に切り替わっています。「フレイル健診」と呼ばれることもあります。たとえば、こんな質問です。

  • 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか(さきいか、たくあんなど)
  • お茶や汁物等でむせることがありますか
  • 6カ月間で2〜3kg以上の体重減少がありましたか
  • 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか
  • この1年間に転んだことがありますか

国は、75歳からの健診の物差しを「メタボ」から「衰え」へ持ち替えました。行政でこの言葉をよく聞くようになったのは、そのためです。

 

介護の入口に立っているのは、病名のつかない「衰え」

なぜ国は、そこまで衰えに目を向けるのか。数字を見ると分かります。

国の2022年の調査で、介護が必要になった主な原因は、全体では認知症(16.6%)、脳卒中(16.1%)、骨折・転倒(13.9%)の順です。ところが、いちばん軽い「要支援1」に絞ると、1位は「高齢による衰弱」(19.5%)に入れ替わります。

介護のいちばん手前では、病名のつかない「衰え」が、いちばん大きな入口になっています。しかも衰えには、痛みや熱のようなはっきりした合図がありません。だから本人も家族も見過ごしやすいのです。

 

目安は5つ|3つ当てはまればフレイル

フレイルの判定には、国際的に使われている5つの目安があります(日本向けに直した基準は2020年に改訂されています)。

  • 体重が、意図せず減った
  • わけもなく疲れやすい
  • 歩くのが遅くなった
  • 握力が落ちた
  • 体を動かす量が減った

3つ以上当てはまればフレイル、1〜2つならプレフレイルとされます。正式な判定は握力計や歩く速さの測定で行うので、ここに並べたのは、あくまで気づくための目安です。

暮らしの言葉に直すと、「ペットボトルのふたが開けにくくなった」「青信号のうちに横断歩道を渡りきるのがきつい」「最近、買い物や趣味で出かけなくなった」。大きな病気より先に、こうした小さな「あれ?」が来ることが多いのです。

口には、全身の5つとは別の目安があります。歯が減った、かみにくい、飲み込みにくい、口が乾く、滑舌が落ちた。この5つのうち2つ以上なら「オーラルフレイル」(口の衰え)とされ、放っておくと体の衰えにつながりやすいとされています(2024年に3つの学会が示した目安)。

 

運動だけでは足りない|効くのは「重ねること」

予防の柱は、栄養・体を動かすこと・社会参加の3つだとされています。調べていて、いちばん手が止まったのは次の数字でした。

東京大学の研究チームが、千葉県内のある市で、介護認定を受けていない65歳以上の方4万9千人あまりの回答を分析した研究です(2019年・日本公衆衛生雑誌)。「運動」「文化活動(趣味や学び)」「地域活動(ボランティアや町内の活動)」の3つを、それぞれ週1回以上しているかで、フレイルへの当てはまりやすさを比べています。

週1回以上していることフレイルへの当てはまりやすさ(3つともしている人を1とした比)
3つとも1
運動だけ6.42倍
文化活動だけ5.95倍
地域活動だけ5.40倍
どれもしていない16.41倍

運動を週1回以上している人は、何もしていない人よりはっきり低い。けれど運動だけだと、3つ全部をしている人の6倍あまりです。しかも運動だけ・趣味だけ・地域活動だけの3つに、大きな差はありませんでした。この調査で差を分けていたのは、活動の種類より「いくつ重ねているか」でした。ある時点を切り取った調査なので、重ねたから元気なのか、元気だから重ねられるのかまでは分かりません。それでも、体を動かすことに、人と会うことを重ねる。少なくともこの数字は、そこを指しています。

最初に書いた3つ目の特徴——フレイルは社会とのつながりの衰えでもある——が、ここで数字の形で顔を出しました。

 

阿見町では|町内の県立医療大学と、測って返す教室

阿見町には、茨城県立医療大学があります。町はその付属病院と共同で、フレイル予防講座を開いています。

阿見第二ふれあい地区館の案内(町HP)によると、2026年度の回は9月4日、さわやかセンター(総合保健福祉会館)で開かれました。対象は町内にお住まいの65歳以上の方、定員15名です(2026年11月確認)。中身は次のとおりです。

  • 体組成計「InBody」で筋肉量を見える化し、握力・口の働き・下半身の筋力を測る
  • 医師が「フレイルを知ろう」と題して話す
  • 県立医療大学オリジナルの、体と口の体操
  • 医療資格を持つスタッフが、結果を一人ずつ説明して手渡す

案内には、こんな問答も載っています。「運動なら定期的にやっているし、食事も気をつけているから……」。答えは、これまでの講座参加者のおよそ半数に口の働きの低下が見られたものの、全員に自覚があったわけではない、というものでした(案内の記載による)。「前に参加したから今年はいいよね?」には、「いいえ。前回の結果と比べて、体の変化を確かめられます」。自分では気づきにくい変化ほど、測れば見えてきます。

2024年9月の予算決算特別委員会で町が説明した教室の質問票の結果でも、「以前に比べて歩く速度が遅くなった」と感じていた参加者は4人に3人ほど。ほかの項目では「心配なし」のほうが多いなかで、ここだけが目立っていました。

もう一つ、茨城ならではの仕組みがあります。シルバーリハビリ体操です。リハビリテーション医の大田仁史さんが考えた介護予防の体操で、県は2004年度から、住民のボランティアを「指導士」として養成してきました。2023年9月1日時点で、県内すべての市町村に10,130名の指導士がいます。体操を教えるのも、教わるのも住民。体を動かすことと人と会うことが、最初から重なっている仕組みです。

 

分かれ道は教室の「その後」|筧田聡も質問

2025年9月の予算決算特別委員会(2024年度決算の審査)で、私はこの教室について質問しました。

教室で学んだことを日常で続け、習慣にしてこそ効果が出る。そのために、教室が終わった後のフォローや、自主的な健康づくりのグループへの橋渡しを、町はどう考えているか——という問いです。

答弁で私が受け止めたのは、次の2点です。教室の最後のアンケートでは、自宅でできる体操を「続けられる」と答えた方が9割を超えていたこと。そして町としても運動の場を設けたいと考え、運動普及委員さんによる新しい体操教室や、シルバーリハビリ体操教室を紹介していること。

9割の「続けられる」は、心強い数字です。ただ、先ほどの研究が言っていたのは「活動を重ねている人ほど、フレイルに当てはまりにくい」ということでした。家で一人で体操を続ければ、それは運動1つ。同じ体操を公民館で仲間とすれば、運動に、人と会うことが重なります。研究は「一人」と「誰かと」を直接比べたわけではありません。それでも私はこう読みました。教室は入口。戻り道は、週に一度「誰かと」体を動かせる場所のほうにある。答弁に出てきた体操教室は、まさにその場所です。

では、その場所は足りているのか。町の75歳以上の方は、この5年で1,618人増えて8,085人になりました(高齢化率が下がる町で、増えているもの)。教室だけで全員に届けるのは難しい人数です。答弁で名前の挙がった体操教室が、どの地区で、どれくらい開かれているのか。そこが見えると、教室の「その後」が地図になります。機会をみて確かめたいと思っています。

最後に、今日できる一歩を。65歳を過ぎたご家族がいたら、夕飯どきにでも、さきほどの5つの目安を一緒に数えてみてください。1〜2つならその手前(プレフレイル)、3つ以上ならフレイルの目安です。どちらにしても「まだ戻れるうちに気づけた」ということ。測ってもらいたいときは、町の健康づくり課(さわやかセンター内・☎029-888-2940)が講座の窓口です(2026年11月確認)。

あなたの「週に一度、誰かと」は、何ですか?

ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!

ご覧いただきありがとうございました。
阿見町の筧田がお送りしました。

 

参考資料

言葉と定義

国の制度と統計

阿見町・茨城県

 

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