どうもこんにちは!NPO法人地域知見LIVE 理事長の 筧田 聡 です。
年を重ねるほど1年が速くなる「ジャネーの法則」に抗うなら、新しい刺激を探すより、打席に立つほうが効く。今年を振り返って、そう感じています。研究でも、年齢による体感の差は思ったより小さく、はっきり差が出るのは「この10年」を振り返ったときでした(2005年・499人の調査ほか)。調べてみたら、よく言われる対策とは少し違うところに答えがあった、というお話です。
この連載『筧田聡のクオリティ・オブ・ライフ』では、日々の価値を感じやすくする取り組みを、自分で試しながら書いていきます。初回は、時間の感じ方です。
今年は、長かった
今年を振り返ると、長い1年でした。
会社を辞めて12年。初めて、当時の先輩・上司と飲みに行きました。しばらく離れていた個別のコンサルも再開しました。研究の報告書づくりにも初めて取り組み、AIで整えました。来年は論文を出す予定です。暮らしの面では、子育てと新築が重なりました。
不思議なのは、何月に何をしたかが、順番に並んでいないことです。それでも記憶が飛んでいる時期はなく、「これは今年やった」と言えることが、たくさんあります。年表にはならないけれど、指を折って数えられる。これが、長い1年の手触りでした。
年齢の差は、思ったより小さかった
ジャネーの法則は、19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが唱えたとされる考え方です。10歳にとっての1年は人生の10分の1、50歳にとっては50分の1。だから年を取るほど1年が短く感じる、という説明です。
抗い方としてよく挙がるのは、「新しい経験をする」「行ったことのない場所へ行く」「いつもの習慣を崩す」の3つ。脳への刺激が増え、時間が長く感じられる、と言われます。
ところが、研究をたどると少し景色が違いました。14〜94歳の499人を調べた2005年の研究では、年齢による違いはあったものの、その影響は小〜中程度で、ばらつきの最大1割ほどしか説明できませんでした。その後の研究のまとめでも、直前の1時間・1週間・1か月・1年の体感には、年齢による差がほとんど見られないとされています。
はっきり差が出るのは、「この10年」を振り返ったときです。年長の人ほど、過去10年を速く感じていました。
速いのは「今」ではなく、振り返ったとき
つまり、速く感じているのは「今」ではありません。振り返ったときです。
よく言われる抗い方は、「その場で長く感じる」と「振り返って長い」を区別せずに語られがちです。しかし、ジャネーの法則が指しているのは、振り返ったときの長さです。そして振り返ったときの長さは、記憶に残る出来事の数で決まる、と言われます。
もうひとつ。「時間が足りない」という感覚は、働き盛りの中年期にピークがあるとされています。忙しさが「速さ」に化けているのかもしれません。
違いは、打席に立っているかどうか
では、何が1年を長くするのか。
私は毎年、誕生日に「N歳の私がN+1歳の私に残してくれたもの」を書いて、SNSに出しています。振り返ると、しっかりと思い起こせる年もあれば、あっという間だった年もあります。その違いを考えてみると、思い当たるのは次の3つでした。
- バッターボックスに立っているか
- やる気のある人たちに囲まれているか
- 自分にマイナスの影響を与える人がいないか
ごちゃごちゃ言ってくる人が近くにいないことは、思っている以上に大切です。
この3つに、「初めて」は入っていません。実際、今年初めて入った古文書の会は、今のところ特段「面白い」「ヤバい」とまでは感じていません(笑)。初めてなら何でも濃くなる、というわけでもなさそうです。
また、打席に立っている年は、予定も期限も増えます。日々は速く感じるのかもしれません。それでも、濃い。速いことと、薄いことは別物です。
「久しぶり」も、1年に刻まれる
その日を楽しみにしている時間と、実際に過ごす時間は、たぶん別物です。12年ぶりの酒の席が、まさにそうでした。
久しぶりに会って、言葉を交わし続ける。これが意外と良くて、濃く感じました。会話の知的なレベルも、大事だと感じます。
そして、もうひとつ。記憶が残るように飲むこと。どんなに濃い時間も、覚えていなければ、振り返ったときの1年には残りません。
明日からできること
今年、「これは今年やった」と言えることを、指を折って3つ数えてみてください。すぐに3つ出てくるなら、たぶん打席に立っていた1年です。
出てこなければ、久しぶりに会いたい人の顔を、1人だけ思い浮かべてみてください。会えばきっと、その日は来年の振り返りに残る1日になります。
おまけ|今年「よーくできてんなー」と唸ったもの
子どもの頃からの口癖に「よーくできてんなー」があります。今年それが出たのは、改めて新幹線。AIは、褒めちぎった1年でした。あとはカップラーメンやポテトチップスの界隈と、ビールなど缶のお酒の味。唸った瞬間も、1年の目印になっている気がします。
あなたの「これは今年やった」も、ぜひ教えてください♪
ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!
ご覧いただきありがとうございました。
阿見町の筧田がお送りしました。
参考資料
- PubMed「Age effects in perception of time」(Wittmann & Lehnhoff, Psychological Reports, 2005。14〜94歳の499人・年齢の効果は小〜中程度で分散の最大10%)
- The Journals of Gerontology: Series B「Sociohistorical Change in Urban Older Adults’ Perceived Speed of Time and Time Pressure」(Löckenhoff ほか, 2022。直前の1時間〜1年は年齢差が小さい・過去10年は年長ほど速い・時間に追われる感覚は中年期がピーク)
- Scientific American「Why Does Time Fly as We Get Older?」(研究の紹介・「初めて」が減ると年が溶け合うという説)











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