どうもこんにちは! 阿見町議会議員の 筧田 聡 です。
去年の夏、お米の棚の前で足が止まった経験はありませんか。5kgで4,000円近くになっていて、いったん手に取って、また戻した。あの感じです。
そのあと、スーパーに「政府備蓄米」と書かれた袋が並びはじめました。「国が備蓄米を放出」というニュースも、連日流れていましたね。
あのとき出された米が、いまどうなっているか。実は、まだ話が終わっていません。しかも、その判断がちょうど今月末に近づいています。
最初の31万トンには「買い戻す条件」が付いていました
2025年3月から始まった最初の仕組みは、正式名称を「政府備蓄米の買戻し条件付売渡し」といいます。
文字どおり、あとで国が買い戻すことを前提にした売り渡しでした。ただし、売った米そのものを返してもらうわけではありません。買った業者が、同じくらいの量・同じくらいの品質の国産米を、あらためて国へ売るという形です。
3回の入札で売られたのは合わせて約31万トン。第1回の契約141,796トンのうち、全国農業協同組合連合会(JA全農)が132,999トン、約94%を占めました。
大事なのはここからです。放出は全部で59万トンと言われますが、買い戻す条件が付いているのは、この最初の約31万トンのほう。残りの約28万トンには付いていません(後述します)。
それでも、店頭の値段は下がりませんでしたよね
覚えている方も多いと思います。放出のニュースが流れても、棚の値段はしばらく変わりませんでした。
落札価格は、玄米60kgで第1回21,217円、第2回20,722円、第3回20,302円。そこから精米して、袋に詰めて、運んで、店に並ぶ。下がりようがなかった、というのが正直なところだと思います。
そこで政府は途中から方式を変え、小売店や米穀店、外食店へ直接売り渡す随意契約(=入札によらず相手を決めて売る方式)を広げました。これが残りの約28万トンです。私たちが店頭で「備蓄米」の袋を見かけるようになったのは、このあとでした。
こちらには買い戻しの条件が付いていません。小売業者などへの売渡しだから、というのが国の説明です。ただし「今後環境が整った際には、随意契約による売渡し数量と同量を今後買い入れる方針」とも書かれています。条件が付いていないことと、戻さないことは別です。国が備蓄を戻すときは、あらためて入札で米を買い入れることになります。
いまの在庫は、こうなっています
- 政府の備蓄米:32万トン(適正水準は毎年6月末で100万トン程度)
- 民間の在庫:243万トン(2年前は約153万トン)
国の備えは3分の1ほどまで減っています。ただし、2026年産の備蓄米21万トンについては、すでに秋以降に国へ入る契約が済んでいます。まったく補充の予定がない、というわけではありません。
もうひとつ注意が要ります。民間在庫の243万トンには、業者の倉庫にある分だけでなく、農家さんの手元にある分の推計も含まれています。「どこかの倉庫に243万トン積んである」という意味ではありません。
おまけ|100万トンって、どのくらい?
適正水準の100万トンを、人口約1億2千万人で割ってみると、一人あたり玄米で約8kgです。精米にすると1割ほど減るので、茶碗にして100杯ちょっと。国全体の備えが、一人あたり茶碗100杯。多いと感じるか、少ないと感じるか。私は最初、思ったより少ないなと感じました。
そして、その判断は「今月末」です
放出の総量59万トンをどう戻すのか。農林水産省が2026年7月に示した基本指針には、こう書かれています。
供給不足が生じる見込みが低い環境下で行うことが必要であることから、令和8年産米の作柄を含め、今後の需給状況等を見定めた上で、時期・数量を判断します
かみ砕くと、「米が足りていそうなときに買う」ということです。予算には15万トン分が計上されていますが、いくら買うかはまだ決まっていません。
判断の時期については、農林水産大臣が2026年7月31日の記者会見でこう述べています。
8月末になれば、令和8年産米の作柄というのがほぼほぼ分かってまいりますので……その段階で、どの程度の量を買い戻すべきかといったことを判断をさせていただき、備蓄水準の回復させていただきたい
この記事を書いているのは8月の下旬。ちょうど、その直前ということになります。
もうひとつ、同じ会見で印象に残ったやりとりがありました。記者から「米は安いほうがいいという側と、価格暴落を防ぎたいという側がある」と問われた大臣が、こう答えています。
基本的には食料安全保障上の観点から、我々としては、備蓄の水準の回復を図っていくということでありますので、基本的に米価がどうこうということを意識して、これをやることは一切ございません。
買い戻しは、値段のための政策ではなく、備えのための政策である。そう明言されたということです。ここを覚えておくと、8月末に判断が出たときの見方が変わります。
なお、買い戻しの期限も途中で変わりました。当初は「原則1年以内」でしたが、放出量が膨らんだため、2025年5月に原則5年以内へ延長されています。
では、どう買い戻すのがいいのか
ここからは私の考えです。
「いつ・何トン買うのかを、先に決めておけないのか」と思われるかもしれません。実は一部はすでに決まっていて、公開されています。適正水準は毎年6月末で100万トン程度。備蓄期間は5年程度。買入れは出来秋の相場に影響しないよう事前契約の一般競争入札で——すべて基本指針に書かれ、誰でも読めます。
ただ、全部を数値で決めるのが正しいとも限りません。発動の水準が分かれば、その手前で買い集めたり、売り抜けたりする動きも出るからです。何トンを割ったら国が買う、と決めた瞬間、その水準そのものが相場の材料になります。
だから私が思うのは、こういうことです。事前に示せるところは示す。示せないなら、動かしたあとに「なぜこの時期に、この数量だったのか」を説明する。どちらもないまま数十万トンが動くのが、いちばん困ります。
数十万トンは、作る人の来年の作付け計画も、私たちが払う値段も動かす量です。動かす前か、動かしたあとか。どちらかで説明があること。それだけでも、次の年の見通しは立てやすくなります。
だから、次に「備蓄米」を見かけたら
去年「高い」と怒って、今年「安くなった」と受け止めて。それで一区切りという気がしますが、制度の上ではまだ途中です。
急いで買い戻せば、市場に回るはずの米を国が吸い上げることになります。先送りすれば、備えが薄いまま次の年を迎えます。どちらにも理由があるので、買うか買わないかの是非を、私はここで言うつもりはありません。
ただ、先ほどの大臣の言葉——「米価がどうこうということを意識して、これをやることは一切ございません」。8月末に出てくる判断が、本当にその説明で通るのかどうか。そこは静かに見ておきたいと思っています。
ニュースで「備蓄米」という言葉を次に見かけたら、ひとつだけ確かめてみてください。それは放出の話ですか、買い戻しの話ですか。それだけで、同じニュースが少し違って見えるはずです。
そしてもうひとつ。ここまでは、国が持っている米の話でした。去年、店頭で私たちが余分に払った分は、どこへ行ったのか。そちらは備蓄制度の外側で起きていて、調べてみると、追える資料そのものが存在しませんでした。その話は別の記事にまとめています。
→ 米価とJA|値上がりで消費者が、値下がりで農家が困った。上がったお金の行方は、誰も追えません
お米のことで「これ、どうなってるの」と思うことがあれば、ぜひ教えてください。次に調べるテーマにさせていただきます。
ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!
ご覧いただきありがとうございました。 阿見町の筧田がお送りしました。


















