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疑問回答|選挙の候補者がTikTokに広告。これって違反?

 

どうもこんにちは!
阿見町議会議員の 筧田かけひだ 聡さとし です。

住民の方から、こんな質問をいただきました。

「選挙の候補者が、TikTokに広告を出しているのを見かけた。あれは違反じゃないの?」

スマホで動画を眺めていたら、候補者の広告が流れてきた。そう聞くと、気になるのはもっともです。こうした疑問を、住民の側に立って調べて確かめるのが議員の仕事です。

なお、質問にあった広告そのものを、私は確認していません。ここでは、ルールを整理します。

 

結論

TikTokは、政治広告を選挙の有無に関係なく禁止しています。公職選挙法は、選挙運動のための有料ネット広告などを禁止しています。 二つは別のルールで、違反になる条件も、重さも違います。

 

誤解しやすい点:「規約」と「法律」は別物

ここが一番混ざりやすいところです。

  • TikTokの規約(広告については「広告ポリシー」)は、会社が決めたサービスの決まりです。破ると、広告が止められたり、アカウントが制限されたりすることがあります。刑罰はありません
  • 公職選挙法は、国の法律です。破ると、捜査や刑事罰の対象になり得ます

ですから、「規約違反だから即、犯罪」ではありません。逆に「TikTokの審査を通った広告だから、法律上も問題ない」とも限りません。

二つを並べると、こうなります。

TikTokの規約公職選挙法
決めているのはTikTok(会社)国
禁じている広告政治広告(候補者や政策への支持・反対など)。さらに政治家・政治団体は、政治的でない広告も不可選挙運動のための有料ネット広告(候補者名などを出したもの。選挙期間中は、名前を出さずに誘導する広告も)。候補者等のあいさつ目的の有料広告
いつ選挙の有無に関係なく、常にどちらも、時期を問わず不可
誰が対象政治広告は、誰が出しても不可「何人も」=候補者本人に限らない
破ったら広告の停止・アカウントの制限など選挙運動のための広告=2年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。あいさつ広告=50万円以下の罰金。罰金刑が確定した場合も、原則5年間、選挙権・被選挙権を失う

もう一つ。お金を払わない普通の「投稿」と、お金を払って流す「広告」は、分けて考えます。ただし、投稿の形をしていても、お金を払って広める「プロモート」や報酬つきのPR投稿には、TikTokの広告ルールが当てはまります。今回の質問は「広告」についてです。

 

事実の分解①:TikTokのルールは、法律より広い

TikTokの広告ポリシー(日本語版・2026年7月更新)は、次のように定めています。

  • 有料の政治広告は認めない(候補者・公職者・政党への支持や反対、選挙や政策への賛否など)
  • 政治家や政治団体による広告は、政治的な内容でなくても、あらゆる種類を禁止
  • 投稿にお金を払って広める「プロモート」機能や、報酬つきのPR投稿にも同じく適用
  • 選挙期間に限った決まりではない

調べてみて驚いたのは、この広さです。法律は広告の「目的」で線を引き、TikTokは政治家の広告そのものを、いつでも認めていません。

 

事実の分解②:公職選挙法が禁じていること

公職選挙法第142条の6は、こう定めています。

  • 何人も、選挙運動のために、候補者の名前などを表示した広告を、有料でネットに掲載させてはならない(第1項)
  • 選挙運動の期間中は、名前を出さずに選挙運動用のサイトへ誘導する有料広告なども禁止(第2項・第3項)

政党などがネットに有料広告を出せる例外(第4項)はありますが、対象は国政選挙と、都道府県・政令指定都市の選挙、知事・市長の選挙です。町村の選挙には、この例外がありません。

違反した場合は、2年以下の拘禁刑(刑務所に入る刑)または50万円以下の罰金です(第243条)。罰金刑が確定した場合も、原則として5年間、投票する権利と、選挙に立候補する権利を失います(第252条)。

選挙のない時期はどうか

ここが一番誤解されやすいところです。

  • 選挙運動(特定の選挙で、特定の候補者を当選させるための活動)は、立候補の届出の日から投票日の前日までしかできません(第129条)。届出の前なら選挙運動の広告を出してよい、という意味ではありません
  • 候補者や、立候補を考えている人が、選挙区内の人へのあいさつを目的とした有料広告を出すことは、時期を問わずネットでも禁止です(第152条。違反は50万円以下の罰金=第235条の6)
  • それ以外の政治活動(政策の紹介など)の広告まで、法律が一律に禁じているわけではありません。どれに当たるかは、中身と時期で判断されます

そして、TikTokの規約は、時期を問わず政治家の広告を認めていません。

 

公職選挙法で問題になった例

ほかの地域の議会議員選挙で、選挙期間中に有料のネット広告を出した議員が、公職選挙法違反の疑いで捜査の対象になったと報じられた例があります。その後、検察は起訴しない(不起訴)と判断しました。刑事手続きとは別に、その議会の議長は本人に厳重注意をしています。

この例の広告がTikTokだったかは確認できていません。TikTokで候補者の有料広告が問題になり、法律上の処分まで至った国内の例は、調べた範囲では見つかりませんでした。

 

解けた後に残る、本物の注意点

法律の主語は「何人も」です。 候補者本人だけでなく、応援する人が自分のお金で出した有料広告も、選挙運動のためのものなら対象になり得ます。よかれと思って出した広告でも、です。

もう一つ。あとから同じ広告を探し出すのは、難しいことがあります。気になる広告を見かけたら、その場で画面を保存しておくと、後から確かめやすくなります。

 

阿見に置き換えると

阿見町の選挙でも、ルールは同じです。選挙運動のための有料ネット広告は、候補者本人が出しても、応援する人が出しても、法律が禁じています。そしてTikTokの上では、政治家の広告は、そもそも規約で認められていません。

流れてきた動画が、広告なのか投稿なのか。ふと立ち止まって確かめられること。一人ひとりのその目が、ルールを守ろうとする人の支えになると考えています。

「ほかにもこんな疑問がある」という声も、気軽にお寄せください。

ご意見・激励等ございましたら、気兼ねなくおっしゃってください!
ご覧いただきありがとうございました。
阿見町の筧田がお送りしました。

 

参考資料

 

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