トランスジェンダーとは……
「生まれた時に与えられた(生物学的分類による)性別と、自分が心から感じる性別(性自認)が異なる人のこと」
生まれた時に男の子とされたけど、心は女の子だと感じている人がいます。逆も然りです。
トランスジェンダーは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルと違って、生物学的分類による性別と性自認が異なるため、生き方や働き方、施設利用において性自認と異なるルールを社会から要求されることが多い現状です。
トランスジェンダーが求めていること(主張)は?
トランスジェンダーの方々が実現したいこと(目的)は、自分自身の心(性自認)と一致する性別で生きていく権利が社会から認められることです。特段、生物学的性と異なる性のトイレやお風呂に入りたいという話ではありません。
参考:「もっと信じて」トランスジェンダーの教師は訴える 「トイレ、女湯に…」は根強い誤解
具体的な主張は次のような内容です。
性自認に基づく性別変更の権利
トランスジェンダーの方々は、生まれた時の生物学的分類による性別ではなく、自分自身の心(性自認)と一致する性別で生きられる権利が法的に認められることを求めています。例えば、名前や性別マーカーの変更です。当人にとっては、「自分らしく生きる権利」を認めてほしいということです。これを人間としての基本的な権利の一つとなることを目指しています。
社会の一員としての平等と性別違和に基づく差別からの解放
社会の一員として平等な権利と機会を与えられるように求めています。
職場や学校、病院など、あらゆる場所で性別違和に基づく差別を受けることがあり、心身に大きな苦痛を受けている方がおられます。
性別移行に伴う医療への支援・アクセス
性別移行に必要な医療を受けられるよう求めている方もおられます。自分自身の身体により一致した性別表現をするためです。具体的には性別適合手術やホルモン療法などの医療的な支援です。
性別表現の自由
服装や髪型、名前など、自分自身の性別を自由に表現できる権利を求めています。
教育や雇用の機会均等
トランスジェンダーの人々は、教育や職場での差別や偏見がないように求めています。適切な教育や雇用の機会を提供されることで、自分自身を成長させ、活躍することができます。
トランスジェンダーへの社会的理解の現状
トランスジェンダーは、まだ社会全体で理解が進んでいないマイノリティ(少数派)です。厚生労働省が行った調査では、「トランスジェンダーという言葉について」
言葉も意味も知っている : 60.4%
言葉は知っているが意味は知らない: 29.8%
言葉も意味も知らない : 9.8%
という結果となっています。
同調査で、企業に対して行った「性的マイノリティに対する配慮や対応を意図した取組の実施状況」への回答は、
実施している : 10.9%
特に実施していない: 88.2%
無回答 : 0.9%
そのため、差別や偏見を受けることが多くあります。
トランスジェンダーを受け入れる取り組み
個々人の取り組み
トランスジェンダーに関する書籍を読んだり、当事者の話を聞いたりして、理解を深めましょう。その上で、もし、トランスジェンダーの方と会ったら、以下の点に注意しましょう。
性別自認を尊重する
トランスジェンダーの人たちは、自分自身の心と一致する性別で呼ばれたいと思っています。名前や代名詞を使うときは、その人の性別自認を尊重しましょう。
偏見や差別をなくす
トランスジェンダーに関する偏見や差別は、当事者にとって大きな苦痛になります。正しい知識を身につけ、偏見や差別をなくしましょう。
社会や組織における取り組み
人々の理解を促進する
4割の方がトランスジェンダーについてわかっていない状況、トランスジェンダーに対する具体的な取り組みを9割弱の事業者が実施していない状況を踏まえ、より社会全体でトランスジェンダーのことを知る、理解することが大切だと考えます。
トランスジェンダーと風呂・トイレの課題
トランスジェンダーを自認する人の中には、 生物学的分類とは異なる性別のトイレに入りたいと主張する人がおります。
異なる性別のトイレに入りたいと主張するトランスジェンダーの方々は、自分自身の性別に合致した風呂・トイレを利用することで、自己肯定感や安心感を得ることを期待しています。風呂・トイレは、性別表現や身体的安心感に関わる場所です。性自認と一致した風呂・トイレを利用することで、自分自身をより認められたり、周囲の人々から理解されたりすることができます。
⚠この問題にはさまざまな意見や考え方が存在します。好ましくない目的を持って主張する方も存在しています。トランスジェンダーの方々が異なる性別のトイレを利用することに対し、現状では社会的な理解・配慮が実現できていない状況です。
最後に
トランスジェンダーの方々は、自分自身の心と一致する性別で自分らしく生きる権利を求めています。私たち一人一人が理解を深め、差別をなくしていくことが大切ではないでしょうか。