どうもこんにちは! 阿見町の 筧田 聡 です。本日は境界知能について、言葉の定義や実情をまとめておきたいと思います。
境界知能とは?
「知的障害」と「知的機能の平均的な領域」の境界(間)に位置する知能指数(IQ)を持つ人々のことを指します。知的障害の診断に該当しない範囲で、 IQ85未満が目安とされています。⚠ 明確な定義はなく、 診断基準も国・機関によって異なります。
最近では、IQそのものによる評価よりも社会適応の実情面が重視される傾向にあり、元々の境界知能の認定とは違った認識で捉える方もいらっしゃるようです。(例:「コミュニケーションが苦手」だから境界知能かも知れない)
「境界知能」という言葉を、 実社会で困っている方の原因を明らかにする中や、支援を考える手段として使うことが大切です。困っている方を支援するためにこの言葉を使うということです。知能検査を受け、境界知能の可能性を知ることでり「納得できる面」もあれば、 「ショックを受ける面」もあるかと思います。ただ、自分を理解することで適応・対応できることも多く、日常を生きやすくなる場合が多いです。
しかし、世の中には悪意のあるレッテル貼りや罵倒目的としてこういった言葉を使う方も少なからずいて、困っている本人や周囲が用語を使うことへの抵抗感に拍車を掛け、 必要な検査を受けづらかったり支援を受けることを検討できなかったりしている方もおられます。本人の意思でラベリングするのはもちろんOKですが、他者からの悪意のあるレッテル貼りは社会で認めていかないことが大切です。
境界知能の特徴とは?
軽度知的障害と診断されるほどではないものの、学習・生活・仕事に困難さを抱えることがあります。具体的には……
・理解力や記憶力、 言語能力など、 認知機能に凸凹がある
・社会性の発達が遅れ、 対人関係やコミュニケーションに困難を抱えることがある
・不安・抑うつなどの精神的な問題を抱えやすい
不得意なことの例
・会話の内容を追えなくなる
・先を見越した行動ができない
緊急時の対処ができない
・感情制御ができなくなる → 例:上司にキレる
・勉強が進まない → やる気がないと勘違いされる
・状況を把握できない → 対人関係が悪化する
・注意・記憶・言語理解・知覚・推論
境界知能の原因とは?
・遺伝的な要因
・脳の機能的な異常
・妊娠中や出産時のトラブル
・幼少期の環境
境界知能の確認方法
知的障害(知的発達症)は医師に診断されるものですが、 境界知能については、 2024年段階では医師から診断が出されるものとはなっておりません。
確認方法としては、 知的障害には当てはまらないが、 心理検査(知能検査による知能指数(IQ)測定)でIQ85未満で、 社会生活に支障が発生していることが、 境界知能の目安となります。
ただ、 近年では知的障害もIQより社会適応の面が重視される傾向にありますので、 実生活で発生している問題に着目することが大切だと思っております。
境界知能への支援
境界知能の方は、「知的障害」と「知的機能の平均的な領域」の間にいることで、社会支援が断裂的になくなる位置におります。そのため支援幅のグラデーション化が求められております。
適した支援があれば、社会で十分に活躍できる可能性を持っています。認知機能や社会性の特性を理解した上で、個々のニーズに合わせた多角的なアプローチが必要となります。誰がどう寄り添うのか、考えてみましょう。
支援の前提
これらの支援を実施するにあたって、境界知能を持つ人にとって周囲の方からの理解と支援が何よりも重要です。
具体的な支援内容としては、以下のようなものが挙げられます。
教育・学習支援
個別指導: 個々の学習ペースや理解度に合わせた指導を提供することで、学習意欲の向上や学力向上に繋げることができます。
ソーシャルスキルトレーニング: コミュニケーション能力や対人関係スキルを向上させるトレーニングを提供することで、社会適応を支援します。
教育機関や家庭での取り組みが考えられます。
就労支援
就労支援のグラデーション的選択肢として現在ある障害者雇用枠と同様に境界知能雇用枠を確保することで、より自分にあった職場を得ることができます。適性検査・IQ検査や職業訓練を通じて、就労に必要なスキルを身につけるための支援も併せて行うことが大切です。
事業者の取り組みが求められます。
日常支援
生活支援: 日常生活における困り事や問題解決を支援します。
経済支援: 経済的な困窮を支援します。
医療・福祉サービス: 必要に応じて、医療や福祉サービスの利用を支援します。
行政の取り組みが期待されます。
社会参加支援
ボランティア活動: 地域活動への参加を促進することで、社会参加を支援します。
ピアサポート: 同じ境遇の人同士の交流の場を提供することで、互いに支え合うことができます。
地域団体や行政による取り組みが考えられます。
その他
情報提供: 境界知能に関する情報や支援機関に関する情報を提供します。
啓発活動: 境界知能に対する理解を深めるための啓発活動を行います。
関係団体の取り組みが考えられます。
支援する際に注意すること
以下の点を意識して支援しましょう。
個々の要望に沿った支援を行う: 境界知能の方の困りごとは人によって異なるため、個々の話を伺い、 適した支援を行うことが重要です。
本人や家族の意向を尊重する: 支援を行う際には、本人や家族の意向を尊重することが重要です。
専門家の連携: 先生、心理士、医師など、専門家の連携による支援が必要です。
境界知能の方が社会で活躍できるよう、社会全体で理解と支援を深めていくことが大切です。
境界知能の方への地域支援策を検討
境界知能の方への社会的支援策として、 今後対応できることを考えてみました。
1. そもそも、 境界知能の方が今一番困っていることは、 社会認知されていないことです。 2024年現在は医師による診断はできず、 社会的な保障が確保されていない状況です。 まずは診断や認定制度を整えることが必要です。
2. また境界知能の方の社会生活において必要なことは、 本人の持てる能力に応じた就労の場の確保です。 例えば、 障害者雇用の枠組みを拡大活用し、 できる範囲の仕事を社会が提供することが求められております。
3. 次に日常生活支援と相談体制の整備です。日常生活を送る上で個別に必要な支援を提供できる体制づくりが必要です。煩雑な手続きを簡易化することも大切です。
4. 地域での交流推進です。例えば民生委員やボランティアによる定期的な交流・見守り・安否確認を行うことで孤立を防ぎます。
最後に……
大切なことは、境界知能の方を含め、 誰もが地域社会の担い手として尊重し合える文化を育て、 住みよいまちをつくることだと考えております。小さな支援の積み重ねが地域を底上げし、 大きな力となるはずです!