はじめに
今回、地獄という宗教的・文化的・哲学的な概念を更生システムとして捉え、統合報告フレームワークを用いて、公益法人の組織活動を分析し、法人としての評価を行ってみました(笑)
というのも、先日、とある雑談の中で……「地獄を企業として見た場合、 経営コンサルタントの筧田さんならどうやって分析するんですか?(笑)」ととんでもない質問を投げかけをされました(笑)
今回は私なりに地獄の仕組みを企業として喩え、(仮に「公益法人地獄システムズ」と呼称してみます(笑))法人組織としての有効性を分析していきたいと思います!
⚠ これからする話はあくまで仮想的なものに過ぎません。実際には存在しない問題に対する仮の分析ですので、頭の体操的にご覧いただければ幸いです。
⚠ 今回テーマにする「地獄」は、 各人の信仰や価値観、 解釈によってイメージされる概念であり、 本来は社会共通の定義がしづらいものであることをご留意いただきますようよろしくお願いします。
0. 地獄とは?
仏教における地獄とは、悪行を為した者の霊魂が死後に送られ罰を受けるとされる死後の世界のことです。
今回は、地獄の仕組みを、 「更生を促すシステム」 と捉えることとしました。悪行してきた者の霊魂が、 死後に地獄へ送られ、 罰を受け、 更生することで生まれ変わる仕組みとなっています。
⚠ キリスト教の地獄は悪魔しかおらず、 人間に更正の機会を与えるものではないそうです。
ちなみに……
矯正:誤りを直し正しくすること
更生:健全な社会生活をおくれるようにすること
地獄を経て、 次の転生でどれだけ悪行をしなくなるかが重要です。
悪行とは?
悪行は……
1.「不殺生」= 生き物を殺さない
2.「不妄言」= 嘘をつかない
3.「不倫盗」= 盗みをしない
4.「不邪婬」= 享楽に溺れない
5.「不飲酒」= 酒を飲まない
……悪行をしないってかなりハードル高いですよね(^_^;) このルールを作った側の問題も大きい気がします(笑)
1. 分析対象
組織名 : 公益法人地獄システムズ
事業内容: 更生プログラム運営
分析手法: 統合報告フレームワーク
統合報告フレームワークとは?
統合報告では、企業の財務情報だけでなく、環境、社会性、ガバナンス(ESG)などの非財務情報を含む、 総合的に企業価値を評価したものを報告します。
2. 資本分析
資本の種類と状況、課題
① 人的資本: 閻魔大王(裁神)、鬼(獄卒)、亡者
閻魔大王は公平な判断で定評がある
鬼の中には暴力的で非効率的な者も存在する
亡者の中には更生意欲の高い者もいれば、反抗的な者もいる。
生前悪い事をした者が死んだ後、 冥界において死者の生前の罪に対し裁判官である十王 (例:閻魔) から7回の審判を受け、 最も罪の重い者は地獄に落とされることになっています。十王の1人はかの有名な裁神 「閻魔大王」 です。ちなみに地獄の鬼は仏の使いとされています。
人材の課題: 人材不足と質の向上
② 財務資本: 罪状に応じた罰金
罪状に応じて適切な罰金を徴収しているが、徴収額は公表されていない。また冥界の経済規模は限定的である。
財務の課題:資金調達と財政管理の強化
③ 知的資本: 倫理観、因果応報法則
倫理観や因果応報法則は更生プログラムの基盤となっているが、時代や文化によって解釈が異なる場合もある。
知財の課題:倫理観や因果応報法則の普遍化
④ 関係資本: 生前に行った善行、未解決のカルマ
生前の善行は更生プログラムへの参加を促進するが、未解決のカルマは更生を妨げる可能性がある。
関係資本の課題: 関係資本を活用した更生プログラムの開発・改善
⑤ 自然資本: 六道輪廻、冥界の環境
六道輪廻は更生のためのサイクルを提供するが、冥界の環境は劣悪で、更生を困難にする場合もある。
自然環境の課題: 冥界環境の改善
資本に対するコメント
経営年数に対して自社への投資があまりに少ないのではないか。
3. 経営分析
① 価値創造プロセス
・罪人の裁きと更生プログラムの提供
(処罰的役割が殆どで、更生(社会復帰)するための支援がどれだけ行われているかは疑問である。
・六道輪廻による魂の浄化と再生
・倫理観と因果応報法則に基づいた社会秩序の実現
② 経営成果
・一定数の罪人が更生し、六道輪廻に再出発している
・六道輪廻は比較的安定的に回転している
・現世における犯罪件数は減少している
・輪廻転生を繰り返し、抜けられない者が多いのが現状である
(教育機関としての実績は出てないと言える)
③ 経営指標
・更生率
・六道輪廻の年数
・現世における犯罪数および犯罪率
※当分析の精度について、更生プログラムの社会貢献度を定量化することが大きな課題となっている。
参考までによくある経営指標例としては……
・労働生産性: 職員一人当たり利用者数・卒業数
・資本生産性: 設備投資額当たり利用者数・卒業数
だが、今回この数字は経営指標であると同時に実数を把握することが現状困難である。そこで下記のような新たな指標とその数字を追える体制にすることを検討してはいかがだろうか。
更生成果指標: 試験結果、転生率、再転生率
社会貢献指標: 転生後の社会貢献度
地獄に対する客観的な評価基準の確立が大きな課題となっている。
4. 法人評価
地獄に対するSWOT分析
① 強み|Strength
明確で独占的な価値創造プロセスである
意識体系として長年にわたる実績と広範な普及を実現している
倫理観と因果応報法則に基づいた強固な基盤を持つ
② 弱み|Weakness
人材の不足と質の低さ
資金調達の困難さ、財務基盤の脆弱さ
冥界環境の劣悪さ
③ 機会|Opportunity
科学技術の進歩による更生プログラムの効率化
冥界環境の改善による更生プログラムの質向上
倫理観や因果応報法則に関する国際的な議論の活性化
④ 脅威|Threat
価値観の変化による更生プログラムの需要減少
冥界環境の悪化による更生プログラムの運営困難
六道輪廻の乱れによる社会秩序の崩壊
また冥界側の問題として、パワハラ体質の組織に対する嫌悪感や抵抗は近年強くなってきている。他にも当法人が冥界の天下り先ではないかと疑われる体制と適応性の低さにも注意が必要である。時代に沿った変化は感じられず、見通しは暗い。
地獄のリスクと機会
倫理的リスク
地獄があまりにも厳しいか、あるいは不当な罰を与える組織と見なされた場合、その存在意義や公正さが問われる可能性があります。特定の罪に対し不釣り合いな罰を与えた場合、組織としての倫理性が問われる事態となるでしょう。
効果 (Outcome) の欠如
地獄の目的が魂の浄化や悔い改めにある場合、悪行を犯した者が罪の意識を感じずに罰を受けるだけで改心や罪の償いが十分に促進されなかったとしたら、地獄の効果や存在目的が疑問視されることになります。また魂が適切な浄化を受けられないあるいは処罰が平等に行われないと、その運営が問題視されるでしょう。
関係者 (Stakeholder) からの信頼性低下と抑止力の減衰
時代の変化とともに人々の倫理観や価値観が変化し、 地獄の恐怖が人々にとって有意な抑止力として機能しなくなってきている可能性がある。今後さらに地獄に関する教えや信じ方に疑義を持つ者が増えた場合、地獄を支えてきた宗教・文化そのものの信頼性が低下していくことになるだろう。
競合プログラムの登場
今までには考えられなかった価値観の変化により、地獄ではない死後の世界を扱える組織やプログラムが登場する可能性がある。
公益法人の評価要素と地獄の場合
公益法人の一般的な評価要素は、下記の3つです。
非営利性: 営利を目的とせず、 公益目的事業を行う → O.K.
公益性 : 公益目的事業が、 社会一般に利益をもたらすもの→ O.K.
民主性 : 運営に会員や地域住民が参加できる → どうでしょう(笑)
現世社会への影響評価
悪行に対する熾烈な更生システムがあることにより、現世にどのような影響をもたらしているのか。人々の倫理観や行動様式にどのような影響を及ぼし、促進・抑制につながっているのか。宗教や社会的制度との関連性など、 広く深く長期的に検証していく必要があると考えます。
関連統計情報の確認
日本の場合ですが、 人口が伸びていた時代に他殺死亡者数が減っているということで、 日本で殺人が減ったと考えられます。 地獄での更生は成果を上げているのではと感じられる代表的な数字を紹介した。
5. 地獄に対する総合評価
地獄は、更生システムとしての役割を果たし、一定の成果を上げていると言える。しかし、更生時間の短縮は決定的に必要である。また人材不足、財務基盤の脆弱性、劣悪な冥界環境など、急務とされる経営課題も存在する。更なる発展に向けては、これらの課題克服はもちろんのこと、更生プログラムの効率化や倫理観や因果応報法則に関する国際的な議論の活性化、冥界環境の改善が重要な取り組みとなる。
6. 地獄を評価してみた結論
統合報告フレームワークは、様々な組織 に適用できる 笑
事業活動によってどう社会が変動するのか。特に入力、出力、効果を追い続けることが評価をより確かなものにする。
最後に
この分析は、地獄という架空の組織に対して統合報告フレームワークを本格的に適用してみました。分析結果は大真面目で、公益法人の活動評価の仕方としても参考にしていただけるページへと仕上がりました。一種の思考実験としてもとても興味深いものとなりましたね(笑)
最後までご覧いただきありがとうございました!
⚠ この分析は、あくまでも架空のシナリオ・設定に基づいており、実際の地獄や公益法人の活動状況を反映したものではありません。
以上(笑)